予告編
解説&物語
解説
「映画化するのは終生の夢であった」・・・大林宣彦

世界的カルト映画にして大林宣彦監督のデビュー作『HOUSE/ハウス』(77)より以前に書き上げられていた幻の脚本が40年の時を経て奇蹟の映画化。自分の命さえ自由にならない太平洋戦争勃発前夜を生きる若者たちを主軸に、心が火傷するような凄まじき青春群像劇を、圧倒的な映像力で描く。原作は三島由紀夫がこの一冊を読み小説家を志したという檀一雄の純文学「花筐」。尾道三部作をはじめ数多くの“古里映画”を撮り続けてきた大林宣彦が選んだ佐賀県唐津市を舞台に、唐津の魂「唐津くんち」が映画史上初の全面協力。窪塚俊介主演、満島真之介、長塚圭史、常盤貴子ほか。『この空の花』『野のなななのか』に続く本作は、余命宣告を受けながら完成させた大林宣彦的 “戦争三部作”の締めを飾る魂の集大成である。

物語
少年は魂に火をつけ、少女は血に溺れる。

1941年の春、アムステルダムに住む両親の元を離れ、佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)の新学期は、アポロ神のように雄々しい鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱きながらも、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と“不良”なる青春を謳歌している。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。「殺されないぞ、戦争なんかに!」・・・俊彦はひとり、仲間たちの間を浮き草のように漂いながら、自らの魂に火をつけようとするが……。

物語を彩るひとびと
窪塚俊介(くぼづか・しゅんすけ)
榊山俊彦(僕)
1981年生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学理工学部在学中に、ロサンゼルスのリー・ストラバーグ演劇学校に留学。2005年、『火火(ひび)』(高橋伴明監督)でスクリーンデビュー。以降、数々のドラマや映画に出演。大林映画常連で『転校生―さよならあなた―』(07)、『22才の別れ』(07)、『その日のまえに』(08)、『野のなななのか』(14)に出演。本作では主人公に大抜擢。
矢作穂香(やはぎ・ほのか)
江馬美那
1997年生まれ、千葉県出身。2010年に女優デビューを果たし、『マリア様がみてる』(10)で初主演を努め、主な出演作に『映画鈴木先生』(13)、『江ノ島プリズム』(13)、『思春期ごっこ』(14)など。TVドラマ「イタズラなKiss〜LoveinTOKYO」(13/CX)のヒロインとして国際的にもブレイクし、「あの日の君に、」(16/BSスカパー!)、「貴族探偵」(17/CX)などTVドラマほか、舞台「大きな虹のあとで〜不動四兄弟〜」に出演。大林映画のヒロイン役に大抜擢されフレッシュな魅力を放つ。
常盤貴子(ときわ・たかこ)
江馬圭子
1991年女優デビュー以降、TVドラマ代表作に「愛していると言ってくれ」(95/TBS)。映画『赤い月』(04/降旗康男監督)では、第28回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、TVドラマ、映画と数多く活躍。最近の出演作品に連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、映画『だれかの木琴』(16/東陽一監督)など。大林映画は『野のなななのか』(14)に続き2作目となる。
満島真之介(みつしま・しんのすけ)
鵜飼
1989年生まれ、沖縄県出身。2010年、舞台「おそるべき親たち」で俳優デビュー。2013年、『風俗行ったら人生変わったwww』で初主演を果たす。主な出演作に、連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(12/NHK)、『オーバー・フェンス』(16)など。最近では、『無限の住人』(17)、『忍びの国』(17)、『三度目の殺人』(17)など、数々の話題作に出演が相次ぐ。
長塚圭史(ながつか・けいし)
吉良
1975年生まれ、東京都出身。1996年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」結成。2017年、劇団化し再始動。最近では、新ユニット「新ロイヤル大衆舎」による北條秀司の代表作「王将」の演出を手掛けた。他、演出に「プレイヤー」、「作者を探す六人の登場人物」など。舞台以外の主な出演作に、連続テレビ小説「あさが来た」(15/NHK)、「Dr.倫太郎」(15/NTV)など。
山崎紘菜(やまざき・ひろな)
あきね
1994年生まれ、千葉県出身。第7回「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞を受賞し、女優デビューを果たす。大林映画では『この空の花』(12)、『野のなななのか』(14)に続き本作が3作目となる。主な出演作に『神様の言うとおり』(14)、『金メダル男』(16)、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17)など。
柄本時生(えもと・ときお)
阿蘇
1989年生まれ、東京都出身。映画JamFilmsS『すべり台』(05)で主演デビューを果たす。以降『超高速!参勤交代リターンズ』(16)、『聖の青春』(16)、『彼女の人生は間違いじゃない』(17)など話題作の出演を重ねる。最近では日本テレビ「愛してたって、秘密はある。」(17)などのTVドラマほかCM、舞台にも数多く出演している。
門脇麦(かどわき・むぎ)
千歳
1992年生まれ、東京都出身。2011年にデビュー後、東京ガスのCMで披露したクラシックバレエで注目を集める。ヒロイン役に抜擢された『愛の渦』(14)が大きな話題を呼び、第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞などを受賞。『二重生活』(16)では初単独主演を果たす。最近の出演作に『太陽』(16)、『こどもつかい』(17)など。今後は、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を控えている。
〜 登場順 〜

山内教授:村田雄浩
一条医師:武田鉄矢
江馬家の婆や:入江若葉
俊彦の父:南原清隆
俊彦の母:小野ゆり子(唐津)
江馬圭子の夫・良:岡本太陽(唐津)
吉良の下宿の老婆:豊田邦子(唐津)
糸島の父:原雄一郎(唐津)
娼家の女:根岸季衣
娼婦:池畑慎之介
憲兵:細山田隆人
憲兵を恋する少女:白井美海(唐津)
出征する女形:大川竜之助(唐津)
女形を送る長老:大塚康泰(唐津)
文士:片岡鶴太郎
山内の母:白石加代子
あきねの父:髙嶋政宏
あきねの兄:原雄次郎(唐津)
唐津くんちのおじいさん:品川徹
老いたる俊彦:伊藤孝
映画を拵えたひとびと

製作:辻幸德(唐津映画製作委員会会長)/大林恭子(PSC)
協力:檀太郎
原作:檀一雄作「花筐」より(講談社・文芸文庫)
脚本:大林宣彦/桂千穂「花筐」2017
撮影台本:大林宣彦「花筐」2017

エグゼクティブ・プロデューサー:大林恭子(PSC)
プロデューサー:山﨑輝道(PSC)

撮影監督:三本木久城
美術監督:竹内公一(A.P.D.J)
編集:大林宣彦/三本木久城

映画音楽:山下康介
主題曲<月地抄>
詩・檀一雄/曲・山下康介/歌・門脇麦

芦別古里映画学校のみなさん
長岡古里映画学校のみなさん
柳川古里映画学校のみなさん
臼杵古里映画学校のみなさん
尾道古里映画学校のみなさん
全国から参加下さったみなさん
炊き出しに参加して下さったみなさん
唐津市のひとびと

唐津くんちのみなさん

監督:大林宣彦

大林宣彦監督からのメッセージ
大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)
映画作家

映画『花筐』の源となる脚本の初稿は、いまを去る40数年の昔、僕、大林宣彦の劇場用映画第一作『HOUSE/ハウス』(77)を撮るよりも前に、第一作を『花かたみ』として製作する予定で書き上げておいたものである。

三島由紀夫がこの一冊を読んで小説家を志したという、檀一雄最初の短篇集に収められた鮮烈な純文学『花筐』が原作である。文豪佐藤春夫による一頭の蝶の絵の装幀に、 僚友・太宰治が帯文を寄せた箱入り愛蔵本を手に、これを映画化するのは僕の終生の夢であった。檀一雄さんの生前にお逢いして映画化の許可は戴いており、この空想的で美的な言語世界を映画にするには何処が宜しかろうかと伺ってみたところ、「唐津へ行ってご覧なさい」、と微笑みながら一言。檀さんはその頃既に重い病に臥しておられたのでありました。

それから日が経ち、檀一雄さんの訃報が御子息の檀太郎君から告げられた。僕の青春のひとつがそこで終わり、映画『花かたみ』の脚本は書棚の奥深くに仕舞われて、永い眠りの時の中に入って了った。それから更に歳月が流れ、僕は独り、遠い青春の記憶を弄っていた。映画が誕生するにも、「旬」があります。40年前には見えなかったものが、いままざまざと見えてくる、ということも。

昭和11年(1936年)文芸誌に『花筐』が発表されたその翌年、処女短篇集『花筐』の出版記念予告日に檀一雄は召集令状を受け取り、戦地へ赴いている。そして多くの尊い命が、戦場の露と消えた。一見、放蕩無頼にも見ゆる本作の若き登場人物たちの精神や行動も、まことは切実なる生きる意志、――我が命は、魂は、我が信じるままに自由であらせよ、と願う、その純血の現れであったか、と。僕はこの物語を、いま新たに昭和16年(1941年)、あの太平洋戦争勃発の年に置き換えて語ってみようと思う。それはいまを生きる僕らに、より切実な、戦争の記憶であるから。

「これは、いま必要な映画ですね」。唐津の里の里人のこの一言に励まされながら・・・。

監督について
大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)
映画作家

1938年広島県尾道市生まれ。3歳の時に自宅の納戸で見付けた活動写真機と戯れるうちに映画を造り始める。

自主製作映画『ÉMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』(67・16㎜)は全国の画廊や大学で上映され高評価を得る。『喰べた人』(63)はベルギー国際実験映画祭審査員特別賞を受賞。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用。CM作品数は3000本を超える。1977年『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(82)『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)は“尾道三部作”と称され世代を超え親しまれている。『異人たちとの夏』(88)で毎日映画コンクール監督賞、『北京的西瓜』(89)山路ふみ子監督賞、『青春デンデケデケデケ』(92)平成4年度文化庁優秀映画作品賞、『SADA』(98)でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、『理由』(04)は日本映画批評家大賞・監督賞、藤本賞奨励賞を受賞。『この空の花〜長岡花火物語』(11)、『野のなななのか』(14)、最新作『花筐/HANAGATAMI』(17)は“大林的戦争三部作”となる。2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章。

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